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進行神経芽腫に対しては、これまで強力な化学療法や放射線治療を含めた集学的治療が進歩してきたが、その治療成績は未だ十分に改善しているとはいえず、さらなる新規治療の開発が求められている。当科では現在、以下の2つの新規治療法について、研究開発を行っている。
1) 間葉系幹細胞を用いた神経芽腫の新規ドラッグデリバリーシステム開発
間葉系幹細胞(MSC)は、様々な間葉系組織(骨、軟骨、筋、脂肪等)への分化能を持つ細胞群である。我々は、このMSCが神経芽腫モデルマウスにおいて腫瘍性病変へ集積する遊走能を有することを確認した。さらに、この性質を利用して、抗腫瘍効果を持つ因子を発現するMSCを作成し、腫瘍へ作用させる試みを行っている(文献6,9)。
2) 新規分子標的薬を用いた神経芽腫治療の非臨床試験
神経芽腫細胞増殖についてMAPKカスケードを介して制御されていることが分かっている。このMAPKカスケードに関わるシグナル分子を標的とした分子標的薬が、現在様々な悪性腫瘍において注目されており、成人領域においては既に臨床応用が進んでいる。研究室では、神経芽腫細胞株を用いて、新たに開発された分子標的薬であるMEK阻害剤などの治療効果を解析しており、今後臨床への応用を目指している(文献5,7)。
3) 転移性神経芽腫シンジェニックマウスモデルによる外科治療戦略の最適化研究
微小遠隔転移巣を有する転移性神経芽腫シンジェニックマウスモデルを確立し、原発巣切除を行った後の転移巣のサイズ,組織学的変化などを検証することで、遠隔転移巣を有する進行神経芽腫において、原発巣切除の転移巣に及ぼす生物学的効果のメカニズムを解明することを目的とする(文献10)。
1)先天性横隔膜ヘルニア重症肺低形成に対する胎児治療の開発
重症先天性横隔膜ヘルニア(CDH)に対する胎児治療は未だ確立されたものはなく、様々な研究がおこなわれている。我々の研究室では、神経ペプチドであるボンベシン,そして間葉系幹細胞(MSC)のCDHラットモデル胎内投与による、肺低形成に対する肺成熟効果を解析している(文献5,8,9)。
2)先天性骨格筋欠損に対する再生医療の開発
横隔膜ヘルニアにおける横隔膜欠損や腹壁破裂における体幹筋欠損などの先天奇形に対して,自己由来組織を用いた骨格筋シート作成を目的として研究を行っている。線維芽細胞から遺伝子導入にて高効率に筋芽細胞系を作成する方法を開発し、骨格筋再生基盤にもちいることが可能か検討中である(文献6)。
3)胆道閉鎖症の肝外胆管における異常免疫とその増強因子の解析
胆道閉鎖症において肝外胆管における異常免疫反応(アレルギー、自己免疫)の所見を明らかにするとともに,これらの免疫反応を増強させる可能性のある内分泌的因子の作用を解析することで,根治術後の自己肝における病態進行の抑制につながる機序を解明することを目的としている(文献10)。