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1) 間葉系幹細胞を用いた神経芽腫の新規ドラッグデリバリーシステム開発
間葉系幹細胞(MSC)は、様々な間葉系組織(骨、軟骨、筋、脂肪等)への分化能を持つ細胞群である。我々は、このMSCが神経芽腫モデルマウスにおいて腫瘍性病変へ集積する遊走能を有することを確認した。さらに、この性質を利用して、抗腫瘍効果を持つGD2抗体を発現するMSCを作成し、神経芽腫や骨肉腫モデルマウスへ作用させる試みを行っている(文献2,4,8)。
2) 新規分子標的薬を用いた神経芽腫治療の非臨床試験
神経芽腫細胞増殖についてMAPKカスケードを介して制御されていることが分かっている。このMAPKカスケードに関わるシグナル分子を標的とした分子標的薬が、現在様々な悪性腫瘍において注目されており、成人領域においては既に臨床応用が進んでいる。研究室では、神経芽腫細胞株を用いて、新たに開発された分子標的薬であるMEK阻害剤やYAP阻害剤などの治療効果を解析しており、今後臨床への応用を目指している(文献1,3,5-7)。
1)先天性骨格筋欠損に対する再生医療の開発
横隔膜ヘルニアにおける横隔膜欠損や腹壁破裂における体幹筋欠損などの先天奇形に対して、自己由来組織を用いた骨格筋シート作成を目的として研究を行っている。線維芽細胞から遺伝子導入にて高効率に筋芽細胞系を作成する方法を開発し(文献2)、骨格筋再生基盤にもちいるべく、新規再生医療開発を行っている。
2)胆道閉鎖症の肝外胆管における異常免疫とその増強因子の解析
胆道閉鎖症において肝外胆管における異常免疫反応(アレルギー、自己免疫)の所見を明らかにするとともに、これらの免疫反応を増強させる可能性のある内分泌的因子の作用を解析することで、根治術後の自己肝における病態進行の抑制につながる機序を解明することを目0的としている(文献8)。
3)難治性リンパ管奇形に対する集学的治療開発
リンパ管奇形に対する治療は、これまで当教室で開発されたOK-432硬化療法を中心として、場合により外科治療を組み合わせて行われてきた。しかし、頸部病変に代表される難治例では、積極的な治療については実施が困難なことも少なくない。近年になり、mTOR阻害薬などの分子標的薬、新規手術デバイス、用手ドレナージなどの新たな治療モダリティーが登場し、教室ではこれらを用いたリンパ管奇形における集学的治療の開発を行っている。